2007 Fiscal Year Annual Research Report
非行生徒への効果的対応にむけた教師支援に関する実証的研究
Project/Area Number |
18730442
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
松嶋 秀明 The University of Shiga Prefecture, 人間文化学部, 講師 (00363961)
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Keywords | 教育相談 / 生徒指導 / コーディーター / コンサルテーション / 連携 / 協働 / アクションリサーチ / 対話 / スクールカウンセリング |
Research Abstract |
昨年度にひきつづき,2つの中学校の教育相談・生徒指導の体制づくりに関わった。その結果,反社会的な問題行動が多発するA中学については,生徒指導に教師のリソースが割かれる一方で、教育相談は棚上げにされるという現状があった。昨年度は,こうした学校の現状を自明視するところから,次第にコーディネーターにも校内の「問題」生徒の情報が集まりにくいこと,他教員から教育相談部会のあり方が見えにくくなっていることが意識されてきた(発心,2007)。今年度はこれをうけて教育相談部会と担任とのネットワークを強くすることを目標に,実践をすすめた。その結果,後期より徐々に「ケース会議」のニーズが増え,不登校生徒への教師の対応もより手厚いものへと変わっていった(ISCAR,2007;発心,2008)。比較的落ち着いた校風ののB中学では,昨年度の経験をへてシステムが円滑に運用されるようになった。さらに,全校的に問題生徒への対応を経験したことから,問題生徒をめぐる新しい語り口が生まれてくることとなった。 さて,本年度は,上記のような実践を積み重ねると同時に,昨年度からおこなってきた学会発表の内容をまとめて,校内体制の構築過程についての論文を2編著した(松嶋,2007,2008)。松嶋(2007)は学校臨床場面における連携についての見取り図をのべたものであり,松嶋(2008)はロシアの文学理論家であるミハイル・バフチンの「対話」概念を援用しつつ,連携をプロセスに即して記述することを試みたものである。この2年間の実践をさらに理論的に掘りさげ,非行をふくめた問題行動に対して学校全体で関わることを援助するモデルを構築することが課題として残された。
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Research Products
(6 results)