2006 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患患者自身が持つセルフスティグマの低減を目的とした介入技法の開発と効果検討
Project/Area Number |
18730459
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
下津 咲絵 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・司法精神医学研究部, 協力研究員 (90392448)
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Keywords | 心理学的介入 / 精神科治療 / 社会系心理学 / 精神療法 / 臨床心理学 / 認知行動療法 / スティグマ / セルフスティグマ |
Research Abstract |
研究初年度である本年度は、1.先行研究の整理、2.スティグマ尺度の標準化、3.次年度実施予定の記述的調査の準備、4.地域住民を対象とした精神科専門機関に対する意識調査をおこなった。 1.先行研究の整理:海外の先行研究において指摘されているセルフスティグマの影響を受けうる要因について、レビューを行い整理した。 2.スティグマを測定する尺度の標準化:Linkスティグマ尺度日本語版の信頼性・妥当性の検討をおこない、本邦における精神疾患に対するスチィグマの尺度を概観した。 3.記述調査の準備:次年度以降に実施予定である、精神疾患患者に対する聞き取りによるセルフスティグマの記述的調査の準備をおこなった。具体的には、精神疾患患者がどのような苦痛や弊害を感じているかを聞き取るための調査の実施マニュアルの作成と、実施協力施設のスタッフとの手順の調整である。 4.地域住民を対象とした意識調査:宮崎県内の地域住民112名を対象にして、精神科専門機関への援助希求に際して好まれる要因、精神疾患患者に対するスティグマの程度を質問紙法により調査をおこなった。診療時間、交通時間、治療法による専門機関への援助希求のしやすさを調査した結果、専門機関を選ぶとき、治療法が最も重要な要因であり、特に心理療法が好まれる傾向にあることが示された。地域によるスティグマ得点の違いが仮説として予測されたが、本調査で得られた結果は、これまで蓄積された他都市での得点結果と有意な差はみられなかった。
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