2007 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患患者自身が持つセルフスティグマの低減を目的とした介入技法の開発と効果検討
Project/Area Number |
18730459
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
下津 咲絵 Kyushu University of Health and Welfare, 社会福祉学部, 講師 (90392448)
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Keywords | 心理学的介入 / 精神科治療 / 社会系心理学 / 精神療法 / 臨床心理学 / 認知行動療法 / スティグマ / セルフスティグマ |
Research Abstract |
本年度は、セルフスティグマの影響について実証的に検討するため、以下を実施した。 (1)先行研究の整理および論文の刊行:先行研究において指摘されているセルフスティグマの影響を受けうる要因および、セルフスティグマの低減プログラムに関するレビューを行い整理した。また、その内容を論文として刊行した。 (2)認知行動療法に基づくプログラムの開発とその効果の検討:認知の変容,自尊感情の回復,およびセルフスティグマの低減を目的とした全10回の認知行動療法に基づくプログラムを開発した。精神科クリニックにおいて外来患者を対象に実施した。そのプログラムの効果としてのセルフスティグマの変化を量的に測定した。現在、集団プログラムの第2クールを実施中であり、データを積み重ねている。 (3)精神疾患患者に対する聞き取りによるセルフスティグマの記述的調査:精神科クリニックの外来患者に対して、セルフスティグマに関わるどのような苦痛や弊害を感じているかを聞き取るための調査を実施した。上記(2)のプログラムの参加者に対してプログラム前後に調査を実施した。セルフスティグマの量的な変化だけでなく、質的な変化についても記述調査をおこなった。現在、データを積み重ねている。 社会のなかでの治療、社会復帰を目指した治療へとその様相を変えつつある本邦の精神科治療において、患者自身の社会参加を阻む要因となりえるセルフスティグマの概念は重要である。これまで臨床的な示唆にとどまっていたセルフスティグマについて、実証的に明らかにすることを試みた点で、本研究は意義深いと考えられる。
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