2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730463
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷内 通 Kanazawa University, 人間科学系, 准教授 (40324058)
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Keywords | 性条件づけ / ラット / 古典的条件づけ / 超音波発声 / 性行動 |
Research Abstract |
物体刺激に対する性条件づけの成立および学習過程について検討した。昨年度までに, 物体CSを発情メスUSに先行してオスラットに提示し, 接近行動等の様式と量を条件反応(CR)の指標として動画記録・分析した。その結果, CS-USの対提示により, CSに対する接近時間が増加することが明らかとなった。そこで, この接近CRがCSと直接連合したS-R学習によるのか, CSはUS表象との連合を通じてCRを喚起するS-S学習によるのかを, US価値低下法を用いて調べた。去勢したオスに浸透性のカプセルの皮下移植を通じてテストステロンを慢性投与した状態で物体-メス条件づけを行った。その後, 半数のラットのカプセルをブランクに交換した。10-20日後のCS提示テストでは, テストステロンの投与を中止した群において有意なCRの低下が認められた。またこれらのラットにテストステロンを再投与するとCRが上昇することも確認された。この結果について, テストステロンが一般的な活動性への影響を通じてこれらのCR様の行動を上昇させた可能性について検討するため, CS物体一餌による食餌性条件づけにおいて同様の手続きを行ったところ, テストステロンの投与または除去による影響は認められなかった。これらの結果から, 性条件づけによって獲得される接近CRは性的動機によって喚起されることが示唆された。 別の検討として, 特定の場所への移動をCS, 後のメスとの交尾をUSとした条件づけにおいて, 場所CSに対するCRとしてラットは60kHz帯域の超音波を発声するようになることが新たに示された。このような発声は社会的場面においても観察されることから, メスとの遭遇の予期に基づく行動である可能性が考えられる。
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