2007 Fiscal Year Annual Research Report
音楽の認知過程と情動及び聴取空間への影響に関する潜在記憶と注意の観点からの研究
Project/Area Number |
18730468
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
後藤 靖宏 Hokusei Gakuen University, 文学部, 准教授 (30326532)
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Keywords | 認知科学 / 音楽認知 / 情動喚起 / 聴取空間 / 潜在記憶 |
Research Abstract |
先行研究によって抽出された「居心地」、「活動性」および「形式」の3因子に基づき空間を設営した。具体的には、「1.ゆったりとしたくつろぎのある空間」と「2.機能的で事務作業を目的とした空間」を実際に準備した。本実験に先立って行った予備調査からは、音楽による心理的影響を受けるのには6分程度が適切であることがわかった。そこで、実験群の被験者にその空間で6分間過ごさせ、自由な状態で音楽を聴取させた。音楽の種類として操作する主要な変数は、音楽から受ける"癒され感"であった。この感覚には、「音楽の拍節性」、「テンポ」および「音圧」が関係していることが分かっており、それらの基準に従って音楽を準備した。POMS(30項目)とGACL(20項目)を合わせたものから、両者において重複する項目を除いた計46項について、実験群と統制群の評価を比較した。 実験の結果、「落ち着かない」や「活動的な」、「ゆったりした」、「くつろいだ」などといった項目について両者の間に有意差が確認された。これらの結果から、1)BGMは、聴取空間とは独立して聞き手に影響を及ぼす側面と、2)聴取空間と相互に作用しながら聞き手に影響を及ぼす側面の、2面があると考えられる。1)については、「落ち着かない」気持ちをやわらげ,「活動的な」,「そわそわした」といった高ぶる気持ちを静める傾向があった。また、2)については、音楽と聴取空間が互いに作用し合って「ゆったりした」気分が大きく,「どきどきした」気持ちが静められる,といった沈静的な効果を作り出しており、互いに相乗効果を生み出す可能性があることが明らかになった。
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