2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730482
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
坂本 敏郎 Okinawa Institute of Science and Technology, 記憶と学習の分子神経生物学ユニツト, 研究員 (40321765)
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Keywords | 消去 / 海馬 / 瞬目反射条件づけ / マウス |
Research Abstract |
連合学習によって形成された反応は,強化刺激を提示しないとしだいに減弱して生起しなくなる。この現象は消去と呼ばれている。本研究では,消去の脳内分子機構を明らかにするため,細胞内情報伝達に重要な役割を果たしているERK(extra-cellular regulated kinase)が欠損した遺伝子組み換えマウスを用いて,恐怖条件づけを実施した。結果,24時間後の文脈(コンテクスト)記憶テストで,ERK欠損マウスは記憶の保持に有意な障害を示した。また,強いショックを与えた条件では,48時間後の記憶の保持にも障害を示した。さらに,消去学習に果たすERKの役割を調べるために,ERKの活性を阻害するMEK阻害剤を,大脳皮質や扁桃体に投与して実験を進める予定である。 瞬目反射条件づけは,小脳と海馬を必要とする課題である。この課題における消去の脳内機構を調べる前段階として,この条件づけの獲得、保持に関わる小脳の役割を検討した。前年度は両側の小脳核のGABA受容体の役割を明らかにしたことに加え,今年度は,片側小脳核の役割を検討した。マウスの瞬目反応は左目から記録しており,この場合左側(同側)の小脳核がこの学習に関与していると報告されている。本件では,同側もしくは反対側の小脳核にGABA受容体のアゴニスト(ムシモール)とアンタゴニスト(ピクロトキシン)を投与して,瞬目反射条件づけに与える効果を検討した。結果,同側,反対側の小脳核はともに瞬目反射条件づけの保持に重要であることが示唆された。これら一連の研究成果は,Cold SpringHarbor Laboratory (New York)でのmeeting,日本神経科学学会第30回大会(横浜)および,^<37>th AmericanNeuroscience Meeting(San Diego)で発表された.
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Research Products
(4 results)