2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730482
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
坂本 敏郎 Okinawa Institute of Science and Technology, 記憶と学習の分子神経生物学ユニット, 研究員 (40321765)
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Keywords | 消去 / 海馬 / 瞬目反射条件づけ / マウス |
Research Abstract |
連合学習によって形成された反応は、強化刺激を提示しないとしだいに減弱して生起しなくなる。この現象は消去と呼ばれている。本研究では、消去の脳内分子機構を明らかにするため、細胞内情報伝達に重要な役割を果たしているERK(extra-cellular signaling regulated kinase)が欠損した遺伝子組み換えマウスを用いて瞬目反射条件づけを行った。条件づけの獲得、消去ともに、ERK欠損マウスは学習成績に障害を示さなかった。 瞬目反射条件づけは、小脳と海馬を必要とする課題である。この課題における消去の脳内機構を調べる前段階として、この条件づけの獲得・保持に関わる小脳の役割を検討した。前年度までに、小脳核へのGABA受容体アゴニスト(ムシモール)とアンタゴニスト(ピクロトキシン)が、瞬目反射条件づけの獲得と表出に重要な役割を果たしていることを明らかにしている。しかし、薬物投与マウスの条件性瞬目反応は完全には障害されなかった。本年度は、条件刺激である音CSの強さ(60 dB→70 dB)を変えて同様の実験を行った。結果、訓練の前半セッションでは、小脳核へのムシモール投与は、学習を阻害したが、訓練の後半セッションでは、ムシモール投与動物の条件性瞬目反応は統制群と同様に生起した。このとは、小脳核がこの学習に部分的に関与していることを示しでおり、マウス瞬目反射条件づけには、小脳以外の脳部位が関与していることも示唆している。 これら一連の研究成果は、日本神経科学学会第31回大会(東京)および、6^<th> FENS Forum of European Neuroscience,2008 (Geneva)で発表された。
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