2008 Fiscal Year Annual Research Report
保育におけるドラマ遊びの発達的意義に関する発達心理学的研究
Project/Area Number |
18730483
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Research Institution | Sapporo Gakuin University |
Principal Investigator |
藤野 友紀 Sapporo Gakuin University, 人文学部, 准教授 (60322781)
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Keywords | ドラマ遊び / 幼児 / 発達 / 保育実践 |
Research Abstract |
本研究の目的は、幼児におけるドラマ遊びの発達的意義を明らかにすることであった。具体的には、3〜6歳児を対象とした保育実践にドラマ遊びを導入して継続的に参与観察を行い、幼児の情動と思考の発達的変化、経験の組織化の特徴を縦断的に捉えることを目指した。最終年度である平成20年度は、補足データを収集するとともに、これまでに実施した4クールのドラマ遊びを、役割とルールの設定方法によって3タイプ(「異世界冒険型」「日常再創造型」「物語演劇型」)に概念化し、各タイプにおける子どもの活動の特徴を比較分析した。その結果、次のことが明らかになった。第1に、虚構と現実との区別を含む状況枠組みを認識している年長児が、その設定世界の主人公としてナラティブを多く産出しながら情動を高めていったのに対し、年少児はその時々の場面に直接喚起された情動に支配さるに留まった。第2に、「物語演劇型」は自分ではない何かの役柄になってストーリーを生きるという活動を求めるのだが、その役柄の明示的ルールの遵守が優先課題となるため、特に年長児において情動が抑制される傾向にあった。第3に、「異世界冒険型」と「日常再創造型」は、日常とは異なる世界をいつもの自分として生きる活動であり、諸々の事物の結合による想像の拡大や情動的経験の深化を生じさせる機能を持っていた。これらの研究成果はInternational Society for cultural and Activity Research第2回大会にて報告された。
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