2006 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校カリキュラムにおけるキャリア教育と教科教育との関連性に関する調査研究
Project/Area Number |
18730485
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
岡部 善平 小樽商科大学, 商学部, 助教授 (30344550)
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Keywords | 高等学校 / キャリア教育 / 教科教育 / 学習経験 / レリヴァンス |
Research Abstract |
本研究は、高等学校でのキャリア教育と教科教育がどのように結びついたとき、生徒のいかなる行動を引き起こすのかについて、体系的な検討を行うものである。本年度は以下の点について理論的、実証的検討を行った。 1.理論的検討 学校での学習経験が生徒の将来展望およびキャリア形成にいかなる作用を及ぼすかについて、主に学習理論の立場から、わが国および英米のキャリア教育研究の成果を検討した。学校での教育内容と職業生活、社会生活との間にいかなる関連性をもたせるかという問題は、「教育内容のレリヴァンス」の問題として扱われている。「レリヴァンス」(関連性)とは「教育内容と現実世界との意味連関」を示しているが、本研究では教育内容と現実世界との関連性、とりわけ職業世界との関連性の在り様が、生徒のキャリア形成に対して顕在的、潜在的に作用している点に着目した。 2.実証的検討 教育内容と現実世界との関連性を「教育内容の社会的レリヴァンス」として捉え、生徒による「社会的レリヴァンス」の認識の形成という観点からどのようなキャリア教育を構想しうるかについて事例分析を行うこととした。すなわち、 (1)札幌と埼玉のキャリア教育推進校5校(普通科2校、専門学科1校、総合学科2校)での資料収集、生徒および教員への聞き取り調査 (2)札幌地区の事例校におけるキャリア教育諸活動の効果に関する卒業生調査 を実施した。その結果、(a)生徒はキャリア教育での諸活動を通して職業世界に一定の関心を示しているが、職業世界と日常的な教科学習との関連性、すなわち「社会的レリヴァンス」については認識が希薄であること、(b)「社会的レリヴァンス」に対する認識は、高校卒業後の仕事ないし大学への移行に伴って事後的に形成される傾向にあることがわかった。 以上の結果は、「社会的レリヴァンス」の構築が、長期的、継続的なキャリア教育を構想する上で基点となりうることを示している。
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