2007 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校カリキュラムにおけるキャリア教育と教科教育との関連性に関する調査研究
Project/Area Number |
18730485
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
岡部 善平 Otaru University of Commerce, 商学部, 准教授 (30344550)
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Keywords | 高等学校 / キャリア教育 / 教科教育 / 学習キャリア / 学習経験の不連続性 |
Research Abstract |
1.理論的検討 高等学校でのキャリア教育と教科教育がどのように結びついたとき生徒のいかなる行動を引き起こすかについて、主に学習理論の立場から、わが国および英米のキャリア教育研究の成果を検討した。本年度はとくに、生徒の学習に対する構え・様式の変化を表す「学習キャリア」の概念に基づき、中等教育から高等教育、職業世界への移行に伴い学習者の学習経験に一定の不連続性が見いだされることに焦点を当てた。そして学習者は、これまでの学習の仕方が通用しなくなったとき、すなわち学習経験の不連続性が顕在化したときに、はじめてキャリア教育の諸活動の意味を認識する点に着目した。 2.実証的検討 上記の理論的検討を受け、生徒の学習経験の不連続性に対するキャリア教育の顕在的、潜在的な効果について事例分析を行うこととした。すなわち、(1)札幌と埼玉のキャリア教育推進校4校(普通科2校、総合学科2校)での資料収集、生徒および教員への聞き取り調査(2)札幌地区の事例校におけるキャリア教育諸活動の効果に関する卒業生調査を実施した。その結果、(a)生徒はキャリア教育での諸活動の意味を、高校卒業後それが行われたのと同様の状況に置かれたときに事後的に認識すること、(b)キャリア教育がどのようなスキル形成に効果的だったかに関する生徒の意味付与において、活動の方法やテクニックに当たる「テクニカルスキル」については認識されやすいが、集団内での協力関係を築くための「ヒューマンスキル」や、「ものの見方」「世界観」に当たる「コンセプチュアルスキル」については意味が認識されにくい傾向にあることが分かった。以上の結果は、「ヒューマンスキル」と「コンセプチュアルスキル」の形成の観点からキャリア教育を構想していく必要があることを示唆している。
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