2006 Fiscal Year Annual Research Report
「羅生門的接近」を応用した現職教員研修プログラムの開発
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18730489
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
根津 朋実 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (50344958)
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Keywords | 教員研修 / 羅生門的接近 / 羅生門的手法 / 多元的現実論 / カンファレンス / ワークショップ / 授業研究 / 校内研修 |
Research Abstract |
第一年次の研究成果は大きく三点に分けられる。 第一点は、カリキュラム開発における 「羅生門的接近」(1974文部省・OECD-CERI共催国際セミナー)、文化人類学の「羅生門式手法」(Lewis, O.)に関し、社会学の概念「多元的現実論」(Schutz, A.)を手がかりに、両者に共通する理論的墓盤を解明したことである。すなわち、諸資料に甚づき、「羅生門的/式...」という語により示される認識を「羅生門的認識」と命名するとともに、この認識が、1)複数の人間が、2)同一の事象に対し、3)異なる意味付与を行うことにより、4)結果的に多様な認識を産出する、という一連の過程を含意することを提示した。この成果は、日本カリキュラム学会における口頭発表、ならびに海外査読誌に掲載された学術論文により示された。 第二点は、教員研修および教員相互による授業研究に関し、関連文献資料を収集・整理することにより、授業後の教員による検討会を重観する「カンファレンス」(稲垣忠彦1986『授業を変えるために カンファレンスのすすめ』国土社などによる)の手法が、本研究課題にとって重要な先行研究となることを見出した点である。 そして第三点は、二つの調査協力校において、それぞれ異なる教員研修のスタイルを実践・観察したことである。埼玉県志木市立志木小学校では、非常勤講師・常勤講師等を対象とし、校内研修のテーマに関する講義(計6回)、および各教員による授業参観・事後指導による校内研修(計10回)を実施した。その際、同意を得て、研修場面を録音した。この録音データは次年度以降に分析を予定している。他方、新潟県上越市立高志小学校では、いわゆるワークショップ型(ブレイン・ストーミング型)の集団的校内研修に参加する機会を得た。これらの資料は、研究成果報告書にまとめられ、両校の全教職員に配布される予定である。
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