2008 Fiscal Year Annual Research Report
新しい時代の共通教養と教育課程の構成に関する研究-ドイツの学校改革を事例に
Project/Area Number |
18730491
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高橋 英児 University of Yamanashi, 教育人間科学部, 准教授 (40324173)
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Keywords | 教育学 / カリキュラム論 / 教育スタンダード / ドイツ |
Research Abstract |
20年度は以下の3つの研究を行った。 1、2000年代以降の教育課程の統一的な国家基準を示した教育スタンダーズの策定が、各州の学習指導要領の改訂に具体的にどのような形で反映されているかを調査し、ドイツにおける共通教養の理念とそれに応じた学校の教育課程の構成を具体的に検討した。ドイツでは、国家的基準として示される教育スタンダーズも、それに基づいて各州が策定する学習指導要領もより大綱的な基準として提示されており、各学校の実践の多様性を引き出すものとして位置づけられていることを明らかにした。しかし、一方で、達成状況を確認するための調査がかえって各学校の多様性を阻害するなどの諸問題もあり、今後の検討課題となっていることを指摘した。 2、Weingarten教育大学のシュナイトマン博士の協力の下、Stuttgart市の州立教育研究所を訪問し、他州における教育課程を中心とした学校評価の取り組みに関する情報を収集すると共に、バーテンービュルテンベルク州内の学校を訪問し、授業参観と関係者へのインタビュー調査を行った。これにより、共通教養を多様な形で保障する学校の教育課程が、統一的な達成状況調査の他に、日常的にどのように評価され運営されているかを具体的に明らかにした。 3、90年代の普通教育の議論と学校改革構想の理論的中核となったクラフキの「鍵的問題」構想の2000年代の展開とドイツ教授学研究における評価を検討した。彼の構想は、PISA2000調査以降の学力保障を中心とした教育改革の流れの中で、教育スタンダーズの獲得も位置づけた構想へと発展していることを示し、共通教養のあり方と教育課程の構成を具体的に構想する教授学的枠組みとして今もなお有効な視点があることなどを指摘した。 これらの成果は、今後の共通教養の内容と教育課程の構成、共通教養の保障のための教育課程編成と運営を考えていく上で有益な情報である。
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Research Products
(3 results)