2006 Fiscal Year Annual Research Report
東海地域(愛知、岐阜、三重県)における公民館の成立・運営過程に関する研究
Project/Area Number |
18730493
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
益川 浩一 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 准教授 (40334916)
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Keywords | 公民館 / 東海地域 / 愛知、岐阜、三重県 / 成立・運営過程 / 戦後初期 |
Research Abstract |
戦後初期公民館の成立・運営過程に関する東海地域(愛知、岐阜、三重県)の地域関係史・資料の積極的な発掘作業・活用を進めながら、併行して関係者へのインタビュー調査を実施し(関係者親族や家族等含む。)、地域や地方公共団体における個性的な初期公民館の実践の集積及び初期公民館をめぐる地域史的実態の一端を明らかにすることができた。こうした研究をとおして得た知見は、以下のとおりである。現代社会教育史における初期公民館成立の意義として、第一に、国家主体の社会教育から、地域・生活に根ざす住民主体の社会教育、住民の自己教育・相互教育としてのそれへという、教育主体の転換がはかられたこと、第二に、団体中心の社会教育から施設中心の社会教育への転換、すなわち、半官半民団体を媒介とした教化としての社会教育行政から、非権力的な環境条件整備行政としての社会教育行政への転換がはかられたこと、第三に、戦前の「公民」=「皇民」概念から、近代市民社会の「市民」概念、主権者への接近がはかられたことの3点をあげることができる。 また、次年度の総まとめに向けて、調査結果にもとづく分析のための準備、研究の意義・視角・課題等研究の意義と方法論の再整理・深化を試みた。とくに対象に迫るための方法(論)としては、次のような点を提示することができた。すなわち、これまでやや顕著であった国家・権力構造論的(政策・行政研究)な、また、政策と自己教育運動の対抗関係を軸にした二項対立的な捉え方ではなく、地域・住民の生活現実と学習実践に視座をおく市民社会論的な視点から接近する。その際、地域・住民の「リアルな生活要求」を基盤とした協同的学習活動をとおして、社会教育の公共性が内発的に構築される歴史的契機と可能性を究明していく。
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Research Products
(1 results)