2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730497
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
杉原 真晃 山形大学, 高等教育研究企画センター, 講師 (30379028)
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Keywords | 学習共同体 / 協働的探究 / 対話 / 対象世界・自己・他者の批判的省察 / 境界横断 / 対話の区別 / 非目標志向的対話 / 権力性の柔軟な変容 |
Research Abstract |
◆本研究の目的 大学教養教育における、教員と学生が相互にかかわり合いながら「学び」を核とした実践に参加するような「学習共同体」の構築という観点から、カリキュラムレベルと授業実践レベルという二つのレベルにおける学生参加型の教養教育改革の意義と課題について実証的に検討する。 ◆平成18年度の研究成果 大学教育における学習共同体構築の理論的背景に用いられる、フンボルトの「学問/教育共同体」、佐藤学の「学びの共同体」、およびレイヴ&ウェンガーの「実践共同体」の概念には協働的探究、対話、対象世界・自己・他者の批判的省察といった共通の要素があり、大学教育における学習共同体の構築の意義と可能性を示している。さらに、ウェンガーの「多重成員性」やビーチの「共変移」の概念による補強により、学習共同体は教養教育課程をいずれは離れていくある個人の境界横断の様相をとらえることが可能となる。しかし、専門的学問知と学習者の生活世界との両立の困難さ、職業的人材開発への利用、学級の不在による吸引力の低さ、異なる目的・組織・文化を持つ実践共同体同士につながりを持たせる困難さ、実践共同体の成員として以外の固有な存在としての側面の見えにくさ等の課題が残った。 この課題に応えるため、「対話」について、ボルノー教育学を手がかりに考察した。確固たる言語使用の育成を図ると同時に、対話を教育に導入する必要性が改めて明らかとなった。しかし、対話は目標志向性、権力性等により区別されるべきであり、教養教育においては、非目標志向的な対話に向けた教育、権力性の柔軟な変容が必要であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)