2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730498
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
樋口 とみ子 京都教育大学, 教育学部, 講師 (80402981)
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Keywords | 教育学 / リテラシー / 公教育 / 読み書き計算 / 公共性 |
Research Abstract |
本研究は、公教育(とりわけ初等中等教育段階)において育成する学力のあり方について、「リテラシー」という概念に着目して考察することを目的としている。 本年度は、第一に、リテラシーのあり方を考える上で重要となる「公共性」概念についての理論的考察を深めることをめざした。そのため、まず、社会科学における公共性議論の論点について、たとえばH.アーレントやJ.ハーバーマス、齊藤純一や井上達夫らの著作を取り上げて検討した。この作業をもとに、今日の公共性議論のなかで光があてられている「複数性」という概念について、教育学のなかでそれをどのように位置づけていくべきかを分析検討した。とりわけ、リテラシー研究のなかで公共性を論じた著作・論文を集め、そこでの公共性や複数性概念のとらえ方の特質について検討した。具体的には、1980年以降のアメリカ合衆国におけるリテラシー論(H.A.ジルーら)に焦点をあてている。その成果は、博士論文においてまとめた。 第二に、具体的な実践レベルでのリテラシーの指導方法を明らかにすることをめざした。なかでも本年度は、初等教育段階を対象とする入門期の読みのプログラムとして注目を集めてきたGuided ReadingとReading Recoveryを取り上げた。これらのプログラムにおいて、どのような教材が開発されているか、またどのような発問がなされているかを、実際の授業実践レベルで検討するとともに、それらのプログラムがどのようなリテラシー観にもとづいているのかについて検討をした。また、その他のさまざまな読みのプログラムに関する文献も収集し、先の二つのプログラムの位置づけに関する分析を進めた。本年度は上記の二点を相互交流させて研究を行った。
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Research Products
(3 results)