2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世人間形成に果たす宗教メディアの意義-地域文化センターとしての寺院に着目して-
Project/Area Number |
18730502
|
Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
梶井 一暁 Naruto University of Education, 大学院・学校教育研究科, 准教授 (60342094)
|
Keywords | 教育史 / 近世 / 寺院 / 僧侶 / メディア / 地域 |
Research Abstract |
近世日本における寺院や僧侶に関する教育史的研究を進展させるため、地域文化センターとしての寺院の性格に着目し、村の知識人や教師として僧侶をとらえる視座から考察を進めた。 従来、教育史研究は、寺院や僧侶に関する研究成果について、ごく限定的な蓄積をなしてきたにすぎない。それは、これまでの教育史研究が教育に関する営みを狭くとらえてきたからであると考えられる。教育に関する営みは、政治、経済、宗教、文化など、さまざまの要素と関連しながら生成されるものであり、とりわけ近世社会においてそれは顕著であった。 本年度筆者は、とくにこの問題関心から、近年のメディア史や社会史や文化史の研究動向をふまえ、教育史の研究史を批判的に検討する作業を進めた。この作業により、日本教育史の研究史における寺院や僧侶に関する研究の位置づけを行い、その教育史的視角から寺院や僧侶を分析することの意義と課題を明らかにし、今後の展望を提言する論考をまとめた。これまで、教育史研究が扱うべき課題として寺院や僧侶を意義づけ、その研究進展の必要や展望を論じる作業が欠落してきた。本年度で実施した作業は、本研究が有するオリジナルな視座から、近代学校育史を主流に構築されてきたこれまでの研究史をとらえなおすものであり、教育史研究の開拓に資する成果になったものと考える。
|