2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国・台湾の教育近代化と少年犯罪ー近代日本の影響ー
Project/Area Number |
18730508
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 美香 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (90331610)
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Keywords | 台湾 / 中国東北部 / 少年犯罪 / 日本植民地下 / 教育問題 / 不良少年・犯罪少年 / 方面委員 / 警察 |
Research Abstract |
平成18年4-5月、台湾で国家図書館、台湾大学図書館で日本統治下の児童保護、少年犯罪、警察、法律、その他一次資料をコピー、デジカメ撮影を行なった。6月には日本比較教育学会第42回大会(広島大学)で「香港における犯罪予防教育」について発表をした。これは現代的なアジアの少年犯罪と教育に関する研究である。7月、台湾協会、日台交流協会図書室で日本統治下台湾の学校名簿を収集した。この名簿収集によって、岐阜在住の台湾で教師経験がある女性にインタビューすることができた。8月中国東北部で一次資料を収集した。9月大東文化大学で開かれた教育史学会第50回大会では、5月の台湾調査を踏まえ、「日本植民地下台湾における少年犯罪と教育」を発表した。平成19年3月14日〜3月18日には、台湾で国家図書館台湾分館、台湾大学図書館、国史館台湾分館で資料収集、戦前の教育を受けた台湾人にインタビューをした。以上の点から、次の点が明らかになった。第一に1930年代の台湾の教育界では教育雑誌を見るかぎり、少年犯罪が教育問題として意識されていなかったこと、第二に児童の管理上、家庭訪問が慣例となっていたものの、公学校側と本島人家庭の間で十分な意思疎通をするまでには至らない場合があったこと、第三に、不良少年・犯罪少年の処遇は警察が中心、犯罪予防は司法保護団体が中心であったが、学校と地域、警察との連携はあまり見られないこと、第四に福祉関係の方面委員などの活動もあったが、不良少年・犯罪少年の保護だけに彼らの職務が限定されていなかったためその仕事に限界があったことである。1920年代、法制度が徐々に整備されつつあるなかで、社会事業団体・司法保護団体が不良少年・犯罪少年に向ける保護主義的な視線さえ、教育界は持たなかった。
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