2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国・台湾の教育近代化と少年犯罪-近代日本の影響-
Project/Area Number |
18730508
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 美香 Nagoya City University, 大学院人間文化研究科, 准教授 (90331610)
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Keywords | 日本植民地 / 台湾 / 近代教育 / 満洲 / 少年犯罪 / 香港日本占領期 |
Research Abstract |
今年度の前半部分は昨年度の台湾における資料の整理、論文執筆に努め、その結果、日本植民地時期台湾における少年犯罪は、植民地における近代教育の普及とは無縁に、さまざまな社会問題との関係で発生し、なおかつその対応は学校関係者より宗教関係者、司法関係者の手による解決が望まれていたことが明らかになった。現在はこの台湾の植民地時代の論文を整理し直し、系統的な植民地少年犯罪史をまとめているところである。 その一方で今年度中国への調査では、昨年度の東北での調査とは違い、南京第二档案館で全国レベルの警察、教育の近代化を改めて検証した。これについては、日本の影響が中国の近代少年犯罪システムに与えた影響がわずかであったこと、満州国内部にあってもそれほど功をなさなかったこと、その背景には満州国の官僚が少年犯罪に積極的な施策を展開しなかったことなど、台湾、朝鮮半島との教育統治、普及とは様相を異にすることから、教育問題のひとつの課題でもある少年犯罪も対策がとられることはなかったことが明らかになった。このほか、香港では日本占領期の少年犯罪の資料が少なく、あるのは日本占領期の教育普及(日本語教育、学校改革)の資料であったが、これらの研究はまだ一部でしか行われていない。香港大学などで収集した当時の新聞雑誌、日本占領前のイギリス政庁によるブルー・ノートなどを用いて少年犯罪の状況と日本占領時期の社会環境、教育状況などを踏まえつつ、急激な日本による香港の教育政策の転換が、人々の生活に与えた影響が分かった。
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