2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国・台湾の教育近代化と少年犯罪-近代日本の影響-
Project/Area Number |
18730508
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山田 美香 Nagoya City University, 大学院人間文化研究科, 准教授 (90331610)
|
Keywords | 中国東北部 / 香港 / 少年犯罪 / 少年令 / 少年福祉 / 司法保護 / 朝鮮 |
Research Abstract |
昨年度までに収集した、中国東北部の各地図書館・档案館(大連、哈爾濱など)・香港大学の資料、国内の資料を用いて、戦前日本占領時期の教育、少年犯罪について明らかにした。 アジア教育史学会で、中国東北部の少年犯罪について発表した。特に、中国近代警察史、近代犯罪史、近代監獄史などの研究はあっても、近代少年犯罪史研究がないため、関連分野の先行研究を整理、さらに収集した資料を読み直した。軍人、官僚、商工業者が多い関東州で少年令が施行されたが、多くの中国の東北部がそうであるような農村部、満洲ではこのような少年令は施行されなかった。関東州でも多様性に見合う少年司法の確立がなされたわけでもなく、内地と幾ばくかの文言を変えただけの少年令が公布されたことがわかった。 国内の図書館でも資料収集をし、9月に教育史学会で、日本占領時期(占領前も含めて)の香港の教育、少年福祉について発表をした。先行研究には概説が多いが、発表では、主に、政策との関連で、香港の子どもの教育状況、就学の困難な状況を詳細に明らかにした。また、イギリス統治期からの少年犯罪に関する法令、少年保護政策について論じ、日本占領時期の軍政下は、少年犯罪対策が行われていなかったことを明らかにした。 一方、日本植民地下の朝鮮半島における少年犯罪について、「朝鮮司法保護」、そのほか関連資料を収集し、整理した。これに関しては、関連する先生に先行研究、関連資料の所在について貴重な意見を頂いたこれによって、中国、台湾、香港、朝鮮の、戦前日本型少年犯罪にかかわる制度の対比が可能となった。
|