2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18730509
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
服部 敬子 Kyoto Prefectural University, 公共政策学部, 准教授 (70324275)
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Keywords | 4歳児 / 対話的関係 / 親密性の形成 / 教え合い / 「指導が難しい」子 |
Research Abstract |
一昨年度から観察対象としているクラスの子どもたちを今年度も継続して観察対象とし、4歳児クラスにおいて保育のなかでどのように対話的な関係を創出する工夫がなされているか、保育者と子ども、子ども同士の関係において対話的な関係がうみ出されていくのかを明らかにするために、次の2つの方法で研究を行った。 (1) 文献研究 : 保育者自身が実践をつづった研究会誌や実践報告集、保育日誌、書籍等を収集し、実践記録のなかで対話的関係の創出がなされていると考えられる部分を抽出し、そうした働きかけに対する子どもたちの応答の発達的な変化をみる。(2) 保育場面の参加観察研究 : (1) 保育園の4歳児クラスで週1〜2回、朝の集まりと設定保育の時間帯に参加観察を行い、保育者の働きかけと子どもたちの様子について記録した。朝の集まりでの対話、ごっこ遊びやルールのある遊びの取り組みに焦点をあて、導入時から発展過程における子どもの様子を観察し、とくに、状況の理解が困難な子どもの場合にとのような混乱が見られるか、どのような工夫が有用であるかを検討するとともに、親密性の形成とグループ活動(メンバー決め・話し合い)過程の検討を行った。 (1) については、4歳児の発見や驚きを引き出すような体験、やりながら「矛盾」に気づいていくことを大事にする指導、「技」(時間をかけて上達する活動)への挑戦過程における見合い、教え合いの場の設定などが対話的な関係を創出する上で重要であることがわかった。 (2) では、(1) で明らかになった指導上の留意点が実際有効であることが確かめられるとともに、友だちとの対話的な関係が成り立ちにくい(指導が難しい)子どもの場合も、親密な友だち関係形成過程において「見る」「聞く」ニーズが増大し、自己調整にもとづく対話的な関係が成立していくことがわかった。
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