2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における私立高等教育機関の量的拡大の基盤形成に関する研究
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18730510
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Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
大迫 章史 Sendai Shirayuri Women's College, 人間学部, 助教 (60382686)
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Keywords | 大学令 / 財団法人 / 社団法人 / 臨時教育会議 / 設置形態 / 学制改革 / 私立高等教育機関 / 高等教育政策 |
Research Abstract |
平成19年度は、大学令の制定過程を明らかにすることを目的として研究を進めた。これと関わって政策の運用過程を明らかにするために、関西学院への訪問調査を実施した。 大学令の制定においては、とくに臨時教育会議における審議過程に着目する必要がある。なぜならば、本会議において、大学令の制定が審議され、その内容が教育政策に反映されたからである。臨時教育会議では、大学の設置形態として財団法人が選択されたが、これは大学の運営には多額の資金を必要とするため、それを保障する設置形態と考えられたからであった。この点では、大学設置は運営を安定させる資金を有する私立高等教育機関に限定されたといえる。しかし、政府はもう一つの大きな問題を抱えていた。これは学制改革である。すなわち、高まる教育要求にいかなる形で応えていくかという問題であった。この解決の一つを私立大学の設置により応えていこうとしたと推測されるのである。ここには、政策制定における考えと、現実問題への対応を迫られる政策運用過程との間に、両者の食い違いを生じたものと推測される。この点の実証については、平成20年度の課題として考えていきたい。 また1940年の基督教教育同盟会校長会における学校設置形態に関する論議についても分析を行った。 訪問調査による成果を記しておく、本調査においては、平成18年度からの課題との関係が大きいが、あわせて本年度の課題とも関わってくるものである。すなわち、私立高等教育機関がどのような点から、社団法人、財団法人を選択したかという問題である。これについて、関西学院の場合、その設置が複数の団体によっていたため、財産の分散もあり、社団法人という形で各団体の財産を明確に分けつつ、一つの設置主体として社団法人化を選択したものと推測される。
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