2008 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における私立高等教育機関の量的拡大の基盤形成に関する研究
Project/Area Number |
18730510
|
Research Institution | Sendai Shirayuri Women's College |
Principal Investigator |
大迫 章史 Sendai Shirayuri Women's College, 人間学部, 講師 (60382686)
|
Keywords | 私立高等教育機関 / 財団法人 / 社団法人 / 量的拡大 / 設置形態 / 法人種別 / 学校法人 / 民法 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度であったため、これまでの研究の総括をおこなった。具体的な研究内容として (1) 戦時下におけるキリスト教主義学校の設置形態の特質と (2) 1898 (明治31) 年民法施行から1911 (明治44) 年私立学校令改正までの民法による法人化過程において私立学校の設置形態にみられる特質を探った。(1) においては、戦時下のキリスト教主義学校の特質を政策との関係を中心に探った。そして史資料等の分析から、戦時下の文教政策、宗教政策等による外圧を受け、これを主な要因としながらも、プロテスタントを中心としたキリスト教主義学校が自主性を装う形で財団法人化していく契機とその過程を明らかにした。 また(2) では、私立学校の設置形態として社団法人と財団法人の2つから選択が可能であったこの時期に、私立学校がいかなる要因でこれらの法人種別を選択したのかを関西学院を事例として確認した。史資料等の分析により、関西学院は学校とこれに関わる財産を明確に区別して認識しており、これが学校を社団法人として設置し、学校の財産管理は別の財団法人でおこなうという特異な形態をとる要因となったことを明らかにした。(1) (2) と関連して、戦前日本で初めて私立大学の設置を認めることとなった1918 (大正7) 年の大学令を審議した臨時教育会議が、量的拡大の基盤形成に果たした役割も大きいものがあった。 戦後日本において、学校法人として設置された私立高等教育機関の量的拡大は、近代日本の高等教育機関をはじめとする私立学校の設置形態が法人、とくに財団法人とされたことで、すでにその基盤形成がおこなわれていた。いくつかの課題は残ったものの、以上のような形で、3年間の研究をとおして、本研究が解明を目指した課題の重要な側面を明らかにすることができた。
|