2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦後沖縄における子どもたちを対象とした社会教育に関する歴史的実証研究
Project/Area Number |
18730516
|
Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
圓入 智仁 中村学園大学短期大学部, 幼児保育科, 講師 (00413617)
|
Keywords | 子ども / 社会教育 / 沖縄 / ボーイスカウト / 教育隣組 / 琉球政府 / アメリカ民生府 |
Research Abstract |
平成18年度は、沖縄における子どもたちの社会教育史研究の対象として、ボーイスカウトと教育隣組に関する資料を沖縄県立公文書館や沖縄県内の図書館で収集した。 (1)ボーイスカウト 1954年までには、琉球にアメリカ人の子どものボーイスカウトが発足している。当時の新聞には、ボーイスカウトが「青少年を社会悪から保護し、将来の指導者を育成するに唯一の機関」とある。1955年、琉球の子どもたちを対象としたボーイスカウトが発足した。高校生年代を対象とした組織の規約には、「エクスプローラーとして、僕は、アメリカの力が神への信任と、国民の勇気と力によるものと信じます。…」という文章が見られる。当時の琉球のボーイスカウトは、「アメリカボーイスカウト極東連盟」の「琉球地区」という位置づけであった。 (2)ガールスカウト 1953年、アメリカガールスカウトのリーダーや日本人の中学教員がガールスカウトの組織を発足させた。1954年、琉球のガールスカウトが、アメリカガールスカウト連盟の一組織として認定された。ガールスカウトが「青少年不良化防止や、道徳教育」に役立つと、当時の事務局職員は述べている。 (3)教育隣組 1958年、那覇市の松川小学校区に、「悪から子どもを守ろう」と地域住民からなる組織が結成され、同年12月にはその数が70を超えた。教育隣組の原型である。その後、各地に不良化防止対策、生活指導、家庭学習、保健体育行事、児童福祉、教育税完納運動、両親教育の実施などを目的とする教育隣組が結成され始めた。戸数10数軒から5,60軒を単位としていたようである。 アメリカ(民政府)のバックアップを受けたボーイスカウトやガールスカウト、そして住民組織としての教育隣組が、ともに「不良化防止」を掲げている。前者は希望者を募った組織、後者は地域の子ども全員の組織という違いがある。互いに交流した記録は見あたらない。
|