2007 Fiscal Year Annual Research Report
戦後沖縄における子どもたちを対象とした社会教育に関する歴史的実証研究
Project/Area Number |
18730516
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Research Institution | Nakamura Gakuen University Junior College |
Principal Investigator |
圓入 智仁 Nakamura Gakuen University Junior College, 幼児保育学科, 講師 (00413617)
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Keywords | 子ども / 社会教育 / 沖縄 / ボーイスカウト / 教育隣組 / 琉球政府 / アメリカ民生府 |
Research Abstract |
平成19年度は、アメリカ統治下の沖縄における子どもを対象とした社会教育の組織や活動の実態について、油縄と東京で資料を収集し、関係者から聞き取り調査を行った。ボーイスカウト(以下、BS)やガールスカウト(以下、GS)と、教育隣組がその対象である。 当時の沖縄におけるBSとGSに関して、以下のことが明らかになった。 1.宗教団体、銀行や石油会社、保険会社などの企業、警察署や消防署などの官公庁が、BSやGSの「育成団体」や「スポンサー」となり、職員が指導者を務めていた。地域の子どもを集め、そこに職場のある企業や官公庁が活動を支えていたのである。 2.アメリカ民生府や高等弁務官が、沖縄のBSやGSに直接、金銭面での支援をした形跡は確認できなかった。 3.BSやGSの子どもは、当地のアメリカ人のBSやGSと頻繁に交流していた。米軍基地に出入りすることも稀ではなかった。 4.BSの活動に参加した子どもには、BSの制服が軍服のようであり、活動が「軍事訓練」であると見なされ、あるいは日本への復帰運動が盛んになる中でアメリカの影響を受けたBSへの参加に違和感を感じるなど、BSをめぐる葛藤を抱えることがあった。 本研究では、放課後や休日の子どもについて、米国民政府はBSやGSを通して、また地城住民は教育隣組を通して関わろうとしていたと仮説を立て、その検証を行っている。 本年度の成果から、米国民政府の関与があったとするならば、それは直接的な関与ではなく、企業や官公庁を通した間接的なものだったと考えることができる。次年度の研究では、その意味を検討する。教育隣組は各地で家庭学習以外にも体育行事などの活動を展開していたが、実際の活動の記録を十分に入手できておらず、次年度の課題として残っている。
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