2009 Fiscal Year Annual Research Report
「キャリア教育」の社会学的研究-生徒の社会化と進路分化に注目して-
Project/Area Number |
18730522
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
金子 真理子 Tokyo Gakugei University, 教員養成カリキュラム開発研究センター, 准教授 (70334464)
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Keywords | 教師 / カリキュラム / 教職 / キャリア教育 |
Research Abstract |
2009年6月から10月にかけて、東京都立高校の教諭、主任教諭、主幹教諭、副校長、校長を含む計14名の都立高校教師に対してインタビュー調査を実施した。一人あたり1時間半から3時間にわたるインタビューを基本的に1回ずつ、うち3名に対しては複数回行った。14名の年齢層は20代2名、30代2名、40代3名、50代7名(うち2名は管理職)で、担当教科は国語、理科、英語、社会、数学、体育、芸術、専門教科と幅広い。現在の勤務校は、進学校から進路多様校、専門高校、特色ある高校、チャレンジスクール等にまたがる。さらに、群馬県立高校教諭2名、都内の大学附属高校教諭1名、都内の公立中学校教諭1名に対しても同様のインタビューを行った。 「キャリア教育」は、(1)「職業に関する知識や技能」を身につけさせる方向性と、「生徒一人一人の職業観、勤労観」を考えさせる方向性と、(3)具体的な進路・進学指導を行う方向性とに分化しているが、学校種、学科、進学率等の違いによって、カリキュラムの社会的構築のプロセスとメカニズムが差異化していた。また、高等学校では、キャリアガイダンス、大学説明会、模試の分析等において、教育産業が学校現場に入り込んで指導助言する機会が近年とみに増えている。「キャリア教育」のカリキュラム構築過程で生じているこのような動きは、教師集団が従来行ってきた進路指導に関する知識や方法の継承を突き崩す一面があり、教師の役割を変容させる可能性があることにも注目して分析をすすめた。
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