2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト産業化社会の大学モデル構築および大学組織改革に関する日英比較研究
Project/Area Number |
18730532
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Research Institution | Aoyama Gakuin Women's Junior College |
Principal Investigator |
鈴木 俊之 Aoyama Gakuin Women's Junior College, 子ども学科, 講師 (50346095)
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Keywords | 教育学 / 高等教育 |
Research Abstract |
本年度は第1年度、第2年度に進めた理論的研究と日英各国の実践的事例を総合する作業を行い、普遍的な大学組織・大学経営モデル構築を目指した。なかでも大学をとりまく環境の変化を考慮した大学モデルを構築するための基礎的作業としてエージェンシー理論を用いて分析を進めた。具体的には、アカウンタビリティに見合う大学のガバナンス設計について、特に大学の内部あるいは高等教育システムの内部からだけでなく、コーポレート・ガバナンスの観点から、つまり大学を取りまくすべての利害関係者との関係から考察した。即ち組織を利害関係者からなる契約の束と考え、そのプリンシパルとエージェントの問に生じる葛藤、つまりエージェンシー問題を制度としていかに抑制しているのかという、エージェンシー理論の観点から、日本とイギリスの大学を分析した。 エージェンシー理論によるとイギリスの大学および日本の国立大学法人では政府をプリンシパルとしたガバナンスが構築されうるが、実際には大学の理念の影響によって大学を中心としたガバナンスが構築されていた。しかし評価社会の到来などにより、両国ともプリンシパルの影響力が強いガバナンス構造が模索されている。ただし、歴史的経緯の違いにより、日本の方がプリンシパルの影響力が強く出るシステムとなっている。私立大学では学生をプリンシパルとしたガバナンスが構築されうるが、これまでは大学の理念の影響による大学中心のガバナンスであった。しかし外的環境の変化により学生の影響力が強くなっている。ユニバーサル化の進展やアカウンタビリティの重視により、大学はこれまでの理念を保ちながらも新しい時代の大学の理念にもとついたガバナンスを構築する必要があることがわかった。
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Research Products
(1 results)