2006 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の歌唱行動の発達的研究-教育課程開発のための基礎資料の作成-
Project/Area Number |
18730534
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
水崎 誠 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (50374749)
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Keywords | 幼児 / 歌唱 / 声域 |
Research Abstract |
本年度は,研究の初年度であり,2つの学会発表を行った。それぞれの概要を示す。 1,水崎誠(2006)「我が国における声域研究の展望」日本教科教育学会第32回全国大会発表 声域研究は,歌唱行動研究の中でもっとも重要とされてきており,我が国では特に幼児を対象として多く行われてきた。本研究では,我が国における幼児の声域研究の現状と今後の課題を述べた。第1に,これまでの声域研究では,測定方法や結果分析の方法の詳細が不明であったり,あるいは一部分問題がある研究が多いことを述べた。第2に,信頼性が高い研究の1つである吉富(1983)「幼児の歌唱可能声域の研究-課題曲を用いて-」の概要を述べ,課題として「測定結果の一般化」,「助言がない場合の測定の必要性」,および「縦断的研究の必要性」の3点を挙げた。第3に,声域研究の今後の課題として「楽器と声を用いて声域を測定する必要性」と「声域を歌唱経験の要因から検討する必要性」の2点を挙げた。 2,水崎誠(2007)「幼児の個別歌唱における音高・音程の問題(2)」日本音楽教育学会北海道地区例会発表 一斉歌唱中の幼児の個別歌唱は,これまでほとんど明らかにされていない。このため研究方法も確立していない。そこで本研究では,イヤーセットマイクによって,一斉歌唱中の幼児の個別歌唱が明瞭に録音できるかどうかを検討した。対象児は5歳児クラスの男児1名と女児1名であった。この2名は,クラスの中心に位置しており,対象児以外の歌声がもっとも多く録音されることが予想されたため選ばれた。録音されたDATをまず聴覚的に検討した結果,歌詞が不明瞭なところや裏声を用いているところなどを明瞭に聞き取ることができた。次に音声分析ソフトで検討した結果,対象児のピッチ曲線のみが示され,B4以上の高い声は安定していないが,A#4以下は比較的正確に歌唱していることを確認できた。これらの結果から,イヤーセットマイクによって,一斉歌唱中の幼児の個別歌唱が明瞭に録音できる可能性は高いと言える。
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