2007 Fiscal Year Annual Research Report
児童の認識に着目した音痴克服のための歌唱指導法に関する実証的研究
Project/Area Number |
18730547
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Research Institution | Tokyo Seitoku University |
Principal Investigator |
小畑 千尋 Tokyo Seitoku University, 子ども学部, 准教授 (20364698)
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Keywords | 音痴 / 歌唱指導 / 児童 / 内的フィードバック / 音痴コンプレックス |
Research Abstract |
本研究の目的は、児童の内的フィードバック(自分自身の歌唱の音高・音程が合っているかどうかの認知)と心理面に着目した音痴克服のための歌唱指導法の開発にむけた実証的研究を行うことである。 研究2年目にあたる本年は、小学校において児童を対象とした歌唱に関する調査を実施した。調査は、2007年6月に4年生3クラス(83名)、5年生2クラス(77名)、2008年1月に3年生3クラス(97名)、4年生3クラス(83名)の総計340名を対象に、単音のピッチマッチ、内的フィードバック、既成曲の歌唱について個別に行った。その結果、音高を合わせられない児童、また内的フィードバックができない児童の存在が浮き彫りとなった。単音のピッチマッチができている場合でも、内的フィードバックができない児童が少なからずおり、成人の事例との差異が認められた。同時に、この調査方法のアセスメントとしての有効性が示唆された。 加えて、同小学校の音楽の授業における継続的な観察と担当音楽科教員へのインタビューと平行し、バルドシュ・ラヨシュ音楽小学校(ハンガリー)の協力を得て、音楽の授業観察及び、音楽科教員のインタビューを行い、音痴に対する指導について海外の音楽科教員との意見交換を行った。 さらに、本研究の基盤研究となる成人を対象とした音痴克服指導についてのグループ事例の追跡調査を行った。その結果、サポート役の歌唱者による心理的サポート、指導スキルの向上が確認できた一方、サポートする歌唱者が、自分自身の内的フィードバックに自信が持てなければ、外的フィードバック(指導者が対象者に対して行う評価行動の中で、特に音高・音程に関するもの)を与えることが難しいことが示唆された。 これらの結果を基に、小学校における児童の歌唱指導において適応可能な内的フィードバックと心理面を考慮にいれた音痴克服の指導事例を開始した。
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Research Products
(5 results)