2007 Fiscal Year Annual Research Report
学習障害児の読み困難とワーキングメモリとの関連性に関する研究
Project/Area Number |
18730555
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
室谷 直子 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 準研究員 (70400653)
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Keywords | 読み障害 / ワーキングメモリ / 音韻処理 / 読解 / リスニングスパンテスト / 短期記憶 |
Research Abstract |
読みに特異的な困難さをもつ学習障害児(以下、読み障害児)においては、音韻処理能力の弱さ、ワーキングメモリ容量や短期記憶スパンの制限が報告されている。本研究では、ワーキングメモ容量、音韻処理能力、読みの困難さの相互の関連性を明らかにすることを目的とし、読み障害児5名(小6〜中2)と、その読み能力相当年齢にあたる小学校中学年の健常児95名を対象として、音韻処理技能を測定する課題、ワーキングメモリ容量を測定する課題(カウンティング・スパン、リスニング・スパン)、流暢性課題(色RAN課題)、短期記憶課題(単語スパン)、類推的な思考力を測定する課題(非言語マトリックス)、読解課題を実施した。健常児における課題間の相関分析を行ったところ、読解課題の得点は、特に音韻処理技能、リスニング・スパンテスト、単語スパン課題との関連性が示唆された。しかし偏相関分析およびパス解析の結果、短期記憶課題と読解との相関にはワーキングメモリの要因が介在していることが示され、直接読解を説明するのに重要な要因は音韻処理課題とワーキングメモリ(リスニング・スパン)であった。読み障害児においては、健常群に対し音韻削除課題での落ち込みが大きい一方、非書語マトリックス課題では健常群より1標準偏差高い成積であった。またワーキングメモリ課題では明確な差が示されなかった。以上より、読み困難児の音韻処理技能の不全は読解力を説明しうるより大きいことから読解力の不全を説明する主たる要因とはいえない一方、ワーキングメモリは音韻処理や短期記憶とはある程度独立に読解を支えており、読解の困難さと一定の関係が推定された。また、読解の関連においては、特に言語性ワーキングメモリの重要性が示唆された。
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Research Products
(1 results)