2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲場 道明 京都大学, 大学院理学研究科, 講師 (80359934)
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Keywords | モジュライ / 導来圏 / 安定性 |
Research Abstract |
本年度はまず非特異射影代数曲線上で確定特異点を持つ放物接続のモジュライ空間を構成し、代数曲線から確定特異点を抜いた空間の基本群の表現のモジュライ空間への写像が双有理型な固有射となることを示している論文を完成させた。二つのモジュライ空間の間の写像はリーマン・ヒルベルト対応から定まる射であることから、モノドロミー保存変形で得られる微分方程式の幾何学的パンルベ性が射の固有性から従う。この論文は現在投稿中である。 一方、射影多様体上の連接層の導来圏の対象のモジュライ空間は代数空間としては構成されていが、そのモジュライ空間はハウスドル不空間にならず、コンパクトにもならないので、もっと性質の良いモジュライ空間を見つけたかった。そこで、ある程度性質の良い三角圏の上で豊富列という概念を導入し、その豊富列によって安定な対象と半安定な対象を定義した。そして安定な対象のモジュライ空間は準射影スキームとなることが示され、半安定な対象のS同値類のモジュライ空間はそのコンパクト化で射影スキームとなることが示された。一応これで、導来圏の対象のモジュライ空間の中で性質の良いモジュライ空間が切り取れたことになる。この結果の応用として、有限群Gが作用する連接層に対して安定性の概念が導入できて、安定なG連接層のモジュライ空間が作れたりする。また、安定層のモジュライ空間をフーリエ・向井変換で写したものも、ある種の豊富列に関して安定な対称のモジュライ空間と見なすことができて、ある意味でフーリエ・向井変換は常に安定性を保つと言う事ができる。この論文も完成していて、現在投稿中である。また、この結果は韓国のKIASで開催されたシンポジウムで発表した。
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Research Products
(2 results)