2007 Fiscal Year Annual Research Report
楕円曲線のセルマー群の計算アルゴリズム開発とその応用
Project/Area Number |
18740013
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
松野 一夫 Tsuda College, 学芸学部, 准教授 (40332936)
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Keywords | 楕円曲線 / 岩澤理論 / Tate-shafarevich 群 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に得た楕円曲線の(p進)岩澤μ不変量関する結果を、p=2の場合だけでなく奇素数に対しても拡張することを目標に研究を開始したが、その過程で楕円曲線の岩澤理論における有名な結果であるMazurの制御定理が、大きなTate-Shafarevich群を持つ楕円曲線の構成に利用できることを発見した。その後、証明の核心部分を見直すことで岩澤理論を経由しない、より直接的な証明を与えることに成功し、更にそれによって結果を、有理数体の任意のp次巡回拡大体上で楕円曲線のTate-Shafarevich群のp-rankは非有界となる、と拡張できた。これまでに知られていた最良の結果はp^4次の程度の拡大体をすべて動かせば非有界となる、というものであったが、今回の結果はそれを大次数の点においても、体を動かさずに任意に固定できるという点いおいても大幅に改良したことになる。証明はp-Selmer群を大きくすることとMordell-Weil群を小さくおさえることという2つの部分に分けられるが、後者は昨年度に得た結果でも利用した2-Selmer群の具体的表示に篩の理論を使って得られる評価式などを組み合わせることで実現した。 同様の議論によって、ClarkとSharifが最近示した、拡大体を固定するのではなく楕円曲線を固定して体を動かした際のTate-Shafarevich群のp-rankの非有界性についての結果も、p=2の場合については証明できることも示したが(彼らのものとは別の証明)、それもpが奇素数の場合に拡張できないかが次の課題となる。また、元の岩澤μ不変量に関する問題も手がかりはつかめてきたので、来年度に更なる進展を得たいと考えている。
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