2008 Fiscal Year Annual Research Report
楕円曲線のセルマー群の計算アルゴリズム開発とその応用
Project/Area Number |
18740013
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Research Institution | Tsuda College |
Principal Investigator |
松野 一夫 Tsuda College, 学芸学部, 准教授 (40332936)
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Keywords | 楕円曲線 / 岩澤理論 / Selmer群 / P進L関数 |
Research Abstract |
20年度は前年度までに引き続き、楕円曲線のTate-Shafarevich群の拡大体での変化に関するClarkとSharifの結果の別証明を奇素数の場合へ拡張する試み、および楕円曲線の岩澤μ不変量と一部分岐岩澤加群との関係についての考察を行った。理論的には新たな成果は得られていないが、実例計算を行うプログラムの改良および拡張を行い、より多くの計算データを収集することが出来た。また楕円曲線のSelmer群を計算するための道具として、MazurとRubinによるKolyvagin systemに関する結果なども学び、目らの問題への適用法などを模索していたところである。 その一方で、楕円曲線のp進L関数を計算するプログラムの、計算代数システムMAGMAへの実装も行った。これは以前にPARIのライブラリを用いてC言語で作成したプログラムをMAGMA上に移行した形のものであるが、プログラムを見通しの良いものへと整理し、また、MAGMAに組み込まれているmodular symbolや楕円曲線に関する種々のコマンドを活用することで、より広い範囲での計算が行えるようにすることが出来た。計算速度の点ではまだ改良の余地があるが、導手が小さい楕円曲線の2次twistのp進L関数の計算を現段階で行える範囲で実行し、データも収集した。その範囲の岩澤不変量についてのデータは既にPollackによって作成されているが、今回はより精密に岩澤多項式の計算まで行っており、これらのデータは今後の研究に役立てられるものと考えている。更に広い範囲で大々的な計算を行うためには、プログラムの改良だけでなく、新たな計算アルゴリズムも必要になると思われる。そのためにPollack-Stevensによるoverconvergent modular symbolを利用したp進L関数の計算アルゴリズムも学び、自らのプログラムに組み込む検討を行っている。
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