2008 Fiscal Year Annual Research Report
グレブナー基底による不変式に纏わるイデアル及び環の解析とその情報科学への応用
Project/Area Number |
18740018
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
大杉 英史 Rikkyo University, 理学部, 准教授 (80350289)
|
Keywords | グレブナー基底 / トーリックイデアル |
Research Abstract |
グレブナー基底の理論を活用して、有限群の不変式に纏わるイデアルや、対称性の高い生成系を持つイデアルなどを解析し、統計学などへの応用を目的として研究を行った。 分割表の検定法の一種である、マルコフ連鎖モンテカルロ法に用いられるマルコフ基底は、トーリックイデアルの生成系と同値であることが知られているが、現れる配置は豊かな対称性を持つことが多く、不変マルコフ基底の研究が竹村彰通氏や、青木敏氏などによってなされている。本年度の研究では、2元部分表和問題に付随するトーリックイデアルについて研究を行い、その豊かな対称性を利用して、以下の6つ条件が同値であることを証明した。(1) 付随するトーリックイデアルは2次の2項式で生成される(2) ある単項式順序が存在して、付随するトーリックイデアルのイニシャルイデアルはスクエアフリーな単項式で生成される(3) ある単項式順序が存在して、付随するトーリックイデアルのグレブナー基底は2次の2項式から成る(4) 付随するトーリック環は正規である(5) 付随するトーリック環はコスツル代数である(6) 対応する部分表は、(原-竹村-吉田によって定義された)2×2ブロック対角、または、三角になっている。この研究結果は、原-竹村-吉田(2007年)が証明した「(1)と(6)は同値」を拡張したものであり、これによって、2元部分表和問題に付随するトーリックイデアル、トーリック環の環論的性質が完全に特徴付けられた。
|
Research Products
(3 results)