2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740025
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
保坂 哲也 宇都宮大学, 教育学部, 助教授 (50344908)
|
Keywords | CAT(0)群 / コクセター群 / 群の境界 / Davis複体 |
Research Abstract |
無限コクセター群および非正曲率空間(CAT(0)空間)の研究を行い、以下の成果を得た。 (1)群が幾何学的に作用するCAT(0)空間の境界がいつ局所連結となるのか、という問題は未解決であり、これは、群作用のあるCAT(0)空間の境界の位相の決定性の問題(幾何学的rigidityの問題)とも関連がある。この境界の局所連結性の問題については、M.Mihalik, K.Ruane, S.Tschantzによる最近の先駆的な研究成果がある。本研究では、独自の手法により、境界が非局所連結となるための新しい十分条件を与えた。この応用として、コクセター系の境界が非局所連結となる十分条件を得た。 (2)群が幾何学的に作用するCAT(0)空間の境界において、いつ群の軌道が稠密となるのか、は未解決な問題である。本研究では、right-angled Coxeter系の境界において、この問題を完全に解決し、この境界上で任意の軌道が稠密となるための判定可能な必要十分条件を与えた。また、一般のCAT(0)群の境界においても、やや強い条件ながら、任意の軌道が稠密となるための十分条件を与えている。今後は、一般のCoxeter群のケースについて取り組むと共に、一般のCAT(0)群の境界に関しても結果の更なる拡張を行いたい。 任意の軌道が稠密となる性質を「極小性」という。(2)は、CAT(0)群の境界の極小性に関する成果である。極小性は力学系に関わる概念であり、一般に「境界」は非常に複雑な構造を持つため、本研究に力学系の概念を導入することは有効であると予想される。今後、これまでの研究を更に発展させ、境界の攪拌集合等の研究を行いたい。
|