2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740026
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 進 Kobe University, 大学院・理学研究科, 准教授 (90345009)
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Keywords | 2次元結び目 / 曲画結び目 / 射影図 / 3重点数 / カンドル / ツイストスパン |
Research Abstract |
4次元ユークリッド空間に埋め込まれた閉曲面を曲面結び目といい、特にその閉曲面が2次元球面であるときS-結び目、2次元射影平面であるときP-結び目であるという。曲面結び目の複雑さを表現する量として3重点数がある。これは古典的結び目の交点数の拡張となっている。本年度はS-結び目とP-結び目の3重点に関して研究を行った。 1.これまでの私の研究で、3重点数1〜3のS-結び目は存在しないこと、2ツイストスパン三葉結び目は3重点数4であることが分かっている。したがって3重点数4であるS-結び目をすべて決定することは、S-結び目のリスト作成に向けた基本課題である。この研究では、カンドルのホモロジーサイクルをコンピュータ計算し、その結果を幾何的に解釈することで、次の結果を得た。定理「3彩色コサイクル不変量が定数でないS-結び目Kに対して次は同値:(1)Kの3重点数は4。(2)Kは2ツイストスパン三葉結び目(またはその向きを逆転したもの)とリボン同境。」一般に与えられたnを固定しても、3重点数がnとなるS-結び目は有限とは限らないが、本結果は3重点数nのS-結び目全体をリボン同境で[割る」ことにより、有限に落ちる可能性があることを示唆している。 2.これまでの私の研究で,S-結び目に限らず、一般に3重点数1の曲面結び目の非存在が分かっている。したがって(S-結び目以外の)3重点数2の曲面結び目の特徴付けは基本課題であるが、球面と比べて複雑なためにこれまで扱われなかった。この研究ではP-結び目の3重点を2個もつ射影図を具体的に調べることにより、次の結果を得た。定理「3重点数2のP-結び目は存在しない。」その応用として、「すべてのP-結び目は、自明なP-結び目と適当なS-結び目との連結和に分解するであろう」という樹下予想に関して、3重点2個の射影図で表されるP-結び目に対しては肯定的であることが分かる。
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Research Products
(2 results)