2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740036
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
本間 泰史 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (50329108)
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Keywords | 幾何学 / ディラック作用素 / コーシー核 / ラリタ・シュインガー作用素 / 球面調和多項式 |
Research Abstract |
本研究はディラック作用素の一般化となる一階微分作用素の性質を調べ, 微分幾何学, 大域解析学へ応用することが主目的である. 今年度は主にラリタ・シュインガー作用素の研究を行い, 次のような研究成果を得ることができた. ラリタ・シュインガー作用素はspin3/2の重力子を記述する作用素であり, 一階楕円型自己共役作用素という意味でも, ディラック作用素の一般化である. しかし, 2乗してもラプラシアンとならず補正項としてツイスター作用素が必要となる. ラリタ・シュインガー作用素, ディラック作用素, ツイスター作用素およびその共役作用素の関係式を具体的に記述し, これをユークリッド空間上のspin3/2-スピノール多項式へ適用し, ある種の完全系列を得ることに成功した. これは, Trautmanによるスピノール調和多項式複体の完全性(1995年)の一般化である-さらに, その完全系列からラリタ・シュインガー作用素の多項式解が調和多項式であるという結果を得た. この結果は, 2乗してもラプラシアンとならない作用素に対する興味深い結果であり, コーシー核の一般化への可能性を示唆していると思える(コーシー核及び共形平坦スピン多様体上への拡張は今後の課題の一つである). また, 多項式解の空間を表現論的に記述し, 各次数での次元を求めることに成功し, 多項式解空間が球面上のspin3/2-L^2スピノールの既約分解と完全に一致していることがわかった. この一致性から, 球面上のラリタシュインガー作用素のスペクトルの計算を試みているが, 未だ成功にはいたらず, これも今後の課題の一つである. なお, 以上の研究成果をいくつかの研究集会にて発表した.
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