2006 Fiscal Year Annual Research Report
グラフマイナー理論と局所変形を用いた曲面上のグラフの多面体的実現についての研究
Project/Area Number |
18740045
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中本 敦浩 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (20314445)
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Keywords | グラフ / 曲面 / 三角形分割 / 多面体 / グラフマイナー |
Research Abstract |
上記の研究テーマで平成18年度より3年間,科学研究費補助金の援助を受けた.今年度はその初年度である. 研究計画立案直前に,射影平面上の任意の三角形分割は,ある1つの面の内部を取り除くことにより,多面体的実現を持つという事実を証明することができた.そして,研究計画には,今後の3年間で,どの1つの面を取り除いても,多面体的実現を持つ射影平面の三角形分割の特徴付けを目指すと述べた.その初年度である平成18年度は,それを少し緩めた結果,すなわち「射影平面の5-連結三角形分割は,どの1つの面を取り除いても多面体的実現ができる」ことを証明することができた.その証明手法は,射影平面の5-連結三角形分割Gの任意の頂点xに対して,xの絡み閉路を境界とするメビウスの帯の三角形分割G-xが多面体的実現可能であることを証明した.その証明では,幾何学的議論の進化はほとんどされていないが,極めて巧妙なグラフ理論的手法が用いられている.(これには最新のグラフマイナー理論の研究成果が生かされている.)この研究内容を全体的に評価すると,とりあえず,当初に掲げた研究計画の第一段階はクリアさせることができたと言える. 研究計画に掲げた目標を実善するためには,今後,幾何学的議論の詳細を詰める必要があると思われる.新年度では,そのためにさまざまな情報収集から始め,幾何学的議論を深めるためのコンピュータを利用したツールの開発や多面体的実現モデルの具体例の設計などが課題となる.それを繰り返すことにより,来年度以降の目標の達成を目指すつもりである.
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