2006 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散系における遷移ダイナミクスの普遍的性質の探求
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18740050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 肇一 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (00378960)
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Keywords | 反応拡散系 / 遷移ダイナミクス / パルスダイナミクス |
Research Abstract |
1.大域的分岐図の作成 反応拡散系に現れる進行波及び周期解を追跡するソフトウェアの開発を行い、発熱反応系に現れる分岐解を追跡した。さらに脈動進行波の出自と分裂の仕組みを調べることによって、この系における複雑時空パターンの発生機構を明らかにした。 2.非一様場におけるパルスの散乱パターン 反応拡散系に含まれるパラメータの空間非一様性によって引き起こされる進行波の散乱パターンを扱った。進行波解の大域的分岐構造を数値的に調査することによって、散乱パターンが変化する際に解軌道は分水嶺解(不安定定常解)に近づくことを発見した。さらに分岐解析により分水嶺解の不安定次元の変化と散乱パターンの定性的変化が同時に起きることがわかった。また、3つの散乱パターン、通過、反発、分裂の領域が接するパラメータ近傍で解軌道は分水嶺解から分水嶺解へと遷移するテロクリニック軌道に近づくことを発見した。 3. 3変数反応拡散系にみられる散乱パターン ある3変数反応拡散系においては2つの進行波が対衝突した後、1つの進行波に融合する現象がみられる。数値実験によって融合が起きるためには安定進行波解と不安定定常波解が共存するパラメータ領域が必要であることがわかった。分岐解析により、調査した2変数方程式において融合現象がみられない理由はこの共存領域の消滅と関係していることが明らかになった。さらに3つの散乱パターン、反射、消滅、融合の領域が接するパラメータ近傍では解は2つの異なる不安定定常解を結ぶヘテロクリニック軌道に近づくことを確認した。
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Research Products
(3 results)