2006 Fiscal Year Annual Research Report
マスター・スレーブ型反応拡散系におけるパターン形成に関する数理的研究
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18740054
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
上山 大信 明治大学, 理工学部, 講師 (20304389)
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Keywords | 反応拡散方程式系 / パターン形成 / 数値計算 / 並列計算 / 遷移現象 / 沈殿系 / リーゼガング現象 |
Research Abstract |
本年度は,マスター・スレーブ型反応拡散方程式に関して,基礎的な情報を集める為の数値シミュレーションを行った。特に,リーゼガング型沈殿現象のモデル方程式として提案した,フェーズフィールド型のマスター・スレーブ型反応拡散方程式について,それを縮約した簡易モデルが生成する空間二次元パターンのパラメーター依存性を調べた。パラメータとしては,実際の実験ではコントロールすることが難しい,反応面の移動速度と,パターン形成の元物質である物質の初期濃度の二つをとった。また,実験では,ゼラチン濃度をかえることによってパターンが大きく変化するが,ゼラチン濃度と核生成頻度との関係が実験から知られており,それをモデルにノイズの強さとして反映させた。結果として,ノイズと反応面の移動速度との間には実験のそれに対応した関係がシミュレーションでも得られ,モデルの正当性に関して一定の結果を得た。また,Gordon Research Conference (Oxford,2006年7月)において講演し,多くの実験家に対して問題を提起することができた。また,実際の現象は空間三次元での現象であり,空間三次元特有のパターン,例えばヘリカル状のパターンなども得られている。これに対応するため,空間三次元における数値シミュレーションを行うことにした。空間三次元のシミュレーションは,計算量が膨大であるため,既存の計算機クラスタを用いた,並列計算により対応した。この手法は他の空間三次元問題にも適応され,空間三次元におけるパターン形成問題に関して一定の成果を与えるものである。
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