2006 Fiscal Year Annual Research Report
表面張力を考慮した移動境界流れ問題の数値解析手法の研究
Project/Area Number |
18740056
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田上 大助 九州大学, 大学院数理学研究院, 助教授 (40315122)
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Keywords | 移動境界流れ問題 / 表面張力 / ナヴィエ・ストークス方程式 / 熱対流問題 / 有限要素法 / PCクラスター |
Research Abstract |
1.高階微分の境界条件を持つ非定常ナヴィエ・ストークス方程式の有限要素解析 本研究課題が対象とする問題の固定領域化によって導かれるこの方程式は,固定領域化に伴う変数変換と表面張力の考慮により,通常よりも強い位相での安定性が必要となること,高次の非線形性が存在すること,といった2点の特徴を持つ.これらの特徴に対応するためには,非線形残差項に対する評価を行なう際に離散グロンウォル不等式の適用方法を工夫する必要がある.既に熱対流問題の有限要素解析で提案している手法を応用することで,より非線形性の強い残差項の評価に対する基礎的な知見を得ることができた. 2.PCクラスター導入へ向けた準備 非定常問題における時間刻みごとの計算を高速化して高精度な数値実験を短時間で行なうために,現有設備よりも単体で約1.5倍の演算能力を持つ計算機を導入した.これにより,効率の良いプログラム開発および数値実験が可能となった.また,現有設備よりも高い演算能力を持ったPCクラスター構築のための知見を得ることができた. 3.熱対流問題の有限要素計算 研究代表者が既に理論的な正当化を行なっている物理係数が温度に依存する熱対流問題に対する有限要素法を,現実のガラス溶融炉問題の解析に適用し,電極配置の違いによる熱収支の変化を基に,より適した操炉条件を得るための調査を行なった.調査に前述のPCクラスターを利用することで,その試験運用の役割を果たすことができた.またここで扱った熱対流問題は,既に述べたように,その非線形残差項の評価が本研究課題における目的達成のための基礎になるなど,密接に関連している.
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