2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740057
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
中村 俊子 (荻原 俊子) Josai University, 理学部, 准教授 (70316678)
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Keywords | 結晶成長モデル / 界面運動 / 反応拡散方程式 |
Research Abstract |
結晶が成長していく際、結晶の表面には一定速度で進むフロント波あるいは回転するスパイラル波がしばしば観察される。これは、結晶表面に転位とよばれる段差が幾つもあり、溶液中の結晶分子はこの段差部分で結晶と結合し、段差が前進あるいは渦巻きながら結晶が成長していくためである。こうした結晶成長を記述する反応拡散方程式モデル、あるいは段差(転位)の時間発展を記述する界面方程式の解析を通して, 結晶の成長現象を数学的に説明することが本研究の目的である。とりわけ、昨年度は、空間1次元反応拡散方程式モデルを漸近展開して転位の時間発展を記述する運動方程式を形式的に求め、この方程式における2つのフロント波の相互作用を調べ、フロント波は互いに反発し、時間の対数オーダーのスピードでゆっくりと離れていくことを示した。今年度は、昨年度形式的議論により導いた界面方程式の数学的正当化を行った。具体的には、反応拡散方程式モデルの初期値問題において、時間が経つと界面(フロント)が形成されること、さらに、フロントの運動を記述する界面方程式の主要項が昨年度得た方程式に一致することを、優解と劣解を構成し比較定理を用いた手法により証明した。また、この議論を結晶表面に転位が複数ある場合に拡張し、転位の相互作用について調べた。2つの転位の間には反発力がはたらき、転位間の距離の指数オーダーに反比例した速度で互いに離れようとし、それらの和(相互作用)によって転位ダイナミクスの本質的部分(界面方程式の主要項)が決定できることを示した。
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