2007 Fiscal Year Annual Research Report
局所定常過程間の因果関係と経済時系列データへの応用
Project/Area Number |
18740060
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
蛭川 潤一 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (10386617)
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Keywords | 統計数学 / 時系列解析 / 金融工学 |
Research Abstract |
実際の統計解析ではモデルの次数を決定する必要がある。独立標本の場合の最も良く知られている次数の決定法として赤池情報量基準がある。モデルを評価するために、通常、確率過程の構造がある関数によって記述されると仮定する。そのような関数の例としては、独立標本の場合の確率密度関数、回帰モデルのトレンド関数、定常過程のスペクトル密度関数、等が挙げらける。時系列解析の理論は、定常性の仮定の下で発展してきた。しかしながら、定常時系列モデルは、実際の時系列データを記述するのに十分でない。近年、重要な非定常過程のクラスの一つである局所定常過程が提案された。局所定常過程の構造は、時変スペクトル密度関数によって記述される。また、局所定常過程における様々な重要な量は、多くの場合、時変スペクトル密度関数の汎関数によって記述される。線形な汎関数については、自然な推定量が未知の時変スペクトル密度関数を局所ペリオドグラムで置き換えることで得ることが出来る。しかしながら、興味のある汎関数は、いつでも線形であるとは限らない。例えば、多変量局所定常過程間の因果関係は時変スペクトル密度関数行列の非線形汎関数で表わされる。そのような場合には、非一致性を避けるために、局所ペリオドグラムの代わりに、ノンパラメトリックなカーネル型時変スペクトル密度関数推定量を用いる必要がある。本研究では、赤池情報量基準を特別な場合として含む、より一般的な、時変スペクトル密度関数の非線形汎関数に基づく局所定常過程についてのモデル選択基準を提案した。また、この一般化情報量基準を経済指標S&P500の時系列データに適用し、選択されるモデルが時間変化する様子を明らかにした。
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Research Products
(6 results)