Research Abstract |
Subdirectly irreducibleな有限Heyting代数を特徴付ける論理式,すなわちcanonical formulaは,Jankovによって1969年に明らかにされていた.一方,有限という条件を外した一般のHeyting代数の場合には,Jankovの方法ではcanonical formulaを求めることができないことや,限定的な場合についてのcanonical formulaについては,2002年に報告者によって明らかにされている.また,Jankovの方法が適応できないのは,連続写像という概念が強すぎることが原因であることも,そのとき同時に報告者により明らかにされていた. 本年度,Studia Logicaに受理された論文,An infinitary extension of the Jankov's theoremにおいて報告者は,連続写像を弱めた概念pseudo continuous homomorphismの概念と,Heyting代数のクラスT-regular Heyting代数の概念を明らかにし,それらを用いると,Jankovの方法でcanonical formulaが自然に求められることを示した.Pseudo continuous homomorphismは,大まかに述べると,像の最大元に収束する点列以外に対しては,連続な写像と定義され,T-regular Heyting代数は,大まかに述べると,最大元以外の各点に対し,それが2番目に大きくなるようなpseudo continuousなprojectonが求められる代数として定義される.なお,このクラスは,直積や直和といった重要な,操作で閉じている.これらの概念は,有限の場合の自然な拡張になっているうえ,重要な具体例を多く含んでいるので,一般の場合のcanonical formulaがかなり詳細に求められるようになった.また,よく知られた形のcanonical formulaが本質的に求められないようなケースを研究する際の足がかりが得られることになった.
|