2006 Fiscal Year Annual Research Report
量子論における不確定性原理の情報理論的表現とその応用
Project/Area Number |
18740064
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
宮寺 隆之 独立行政法人産業技術総合研究所, 情報セキュリティー研究センター, 研究員 (50339123)
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Keywords | 暗号・認証等 / 情報基礎 |
Research Abstract |
情報撹乱定理の一般化:これまできわめて対称性の高い状態にしか適用できなかった情報撹乱定理の一般化に成功した。この定理はボブの得る情報量とイヴの得る情報量のトレードオフを表すものとなっている。また証明方法は量子論の基本原理である不確定性関係を直接に用いたものであり、非常に見通しがよく示唆に富むものである。 量子測定に関する限界式の導出:1960年代より加法的な保存量が存在する場合には量子測定に限界が生じること(Wigner-Araki-Yanaseの定理)が知られており、量子計算機等に応用されるに至って、この定理はまた近年注目を浴びている。本年度、我々はこの定理の一般化に成功した。我々の定理は量子測定に関する要請を緩めても、やはり限界が存在することを示しており、また量的な限界も与えるものである。 量子操作の限界とダイナミクスの関係:量子論では非可換な状態のコピーはできないことが知られており、これは量子情報セキュリティを支える最も基本的な原理である。我々は、可換な状態であっても、それらが系のハミルトニアンと非可換であれば、それらの状態のコピーにはその非可換性に比例した大きさの相互作用が必要とされることを導いた。この結果は、量子操作とダイナミクスの関係を扱ったもので従来にはなかった研究の方向性を示すものであるといえよう。その他:不確定性関係の一つの表現としてLandau-Pollak型と呼ばれるものがある。この定理の一般化を行い、量子紛失通信への応用を行った。
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