2007 Fiscal Year Annual Research Report
KdV方程式に関連する方程式の初期値問題の可解性と解の性質
Project/Area Number |
18740068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
津川 光太郎 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (70402451)
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Keywords | 関数方程式論 / 非線形 / KdV方程式 |
Research Abstract |
調和解析的手法を用いて|u|^2という二次の非線形項を持つシュレディンガー方程式の滑らかさの低いクラスでの時間局所可解性について研究した。シュレディンガー方程式は、KdV方程式と同じく、分散型波動方程式と呼ばれるグループに属し、特に、|u|^2というタイプの非線形項を持つ場合には、エネルギーカスケードと呼ばれる、解の高周波成分から低周波成分へのエネルギーの流れが問題になるなど、KdV方程式との共通点が多い。本研究では、解を構成するノルムに以下の二点の工夫をしたことにより、既知の結果よりはるかに低い滑らかさの仮定の下での可解性を示す事が出来た。一つ目は、フーリエ空間での低周波成分に修正を加えた点。二つ目は、方程式の線形部分から決定されるブルガンの重み関数と呼ばれる部分に対して、非線形項の影響を考慮した点である。これらのアイデアはKdV方程式に関連する今後の研究にも役立つと思われる。 また、1次元のディラック・クラインゴルドン方程式に対しても、滑らかさの低いクラスでの時間局所適切性を研究した。既知の結果における滑らかさの仮定を大幅に改良し、また、反例も示す事によりこの結果が最良のものである事も示した。これは、通常は別々に用いられる非斉次部分の評価と非線形評価を組み合わせて、さらに、ある種の拡張された制限定理を用いることによって得られた。このアイデアは、KdV方程式やシュレディンガー方程式などを含む様々な方程式に対して、利用出来る可能性があると思われる。
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Research Products
(3 results)