2008 Fiscal Year Annual Research Report
KdV方程式に関連する方程式の初期値問題の可解性と解の性質
Project/Area Number |
18740068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
津川 光太郎 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (70402451)
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Keywords | 関数方程式論 / 非線形 / 分散型 |
Research Abstract |
本研究課題のKdV方程式およびこれに関連するOstrovsky方程式などは非線形分散型の方程式である。非線形分散型方程式の初期値問題の適切性の研究における強力な手法としてフーリエ制限ノルム法が知られている。しかし、いくつかの方程式に対しては、この手法だけでは十分な結果が得られず、未解決問題が残されていた。そこで、このノルムに修正を加えることにより、以下の二つの結果を得た。 シュレディンガー改良ブジネスク方程式系の初期値問題の時間局所適切性の研究において既存の結果を改良した。これにより初期値の属する関数空間に対する仮定をより弱くすることが出来た。また、これより弱い仮定の下ではある意味非適切性が成立することも示した。これは、ここで得られた適切性の結果がほぼ最良のものである事を意味する。 ザハロフ系の初期値問題の時間局所適切性の研究において既存の結果を改良した。初期値をソボレフ空間に属するとしたとき、その指数によって適切性が得られる場合と非適切性が得られる場合に分けられる。これまでの結果ではこの場合分けが完全には成されておらず、未解決部分が残っていた。今回の研究によって完全に場合分けすることに成功した。 フーリエ制限ノルムは方程式の線形部分によって決定される。一方、上記の結果は非線形項の幾何的性質を考慮してノルムに修正を加えたことによって得られた。このアイデアはより広いクラスの非線形方程式に対して応用が可能だと思われ、今後の発展が期待される。
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