2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740071
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小池 達也 京都大学, 大学院理学研究科, 助手 (80324599)
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Keywords | 関数方程式論 / 完全WKB解析 / 漸近解析 |
Research Abstract |
数理解析研究所に滞在していたH.Silverstone教授とともにクーロンポテンシャルに対する1次元シュレーディンガー方程式の固有値問題について完全WKB解析の立場からの研究についての討論を行なった.そのような固有値問題については固有値は量子力学の初期の頃に初等的な方法により完全に決定されているものの,WKB法によるその固有値問題の取り扱いには(古くにはLangerが指摘したように)理論的には様々な問題点があり,近年にいたるまで議論され続けてきた.(その難点の主となる理由はWKB解を近似解として考えることにあると考えられる.) この問題について完全WKB解析を用いると,極めて自然に,かつ明快に議論できることがわかった.特に大きいパラメーターを複数の方法で導入して考察した結果,物理的に自然と考えられる方法でも固有値問題を取り扱うことができたが,非物理的と考えられるように大きいパラメーターを方程式に導入しても(こうして得られる方程式は本研究の研究課題である単純極型になる.)やはり固有値問題を取り扱うことができ,その結果正しい固有値を求めることができる.これはWKB解を近似解として取り扱うのではなく,Borel和を用いて解析的に意味付けする完全WKB解析の考えかたが極めて自然であり,またその威力を示す一つの好例となったと考えている.現在この結果についてまとめた論文を準備中である.
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Research Products
(1 results)