2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中西 賢次 Kyoto University, 理学研究科, 准教授 (40322200)
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Keywords | 非線形波動 / 分散性 / 漸近解析 / 散乱理論 |
Research Abstract |
非線形シュレディンガー方程式について最も基本的な解の一群である平面波に摂動を与えた場合の時刻大での漸近挙動について、空間3次元で反発性非線形項の場合に漸近安定である(時刻無限大で元の平面波が回復される)事を証明した。これは、非線形シュレディンガー方程式の普遍的な導出において、また非線形光学や超流動の記述において、解が時空大域的に平面波に近いと考える事の数学的正当性を与える基礎的な結果である。 また、ランダウ・リフシッツ方程式、調和写像熱流、およびシュレディンガー写像について、回転共変対称性の下で調和写像の漸近安定性を調べ、回転対称性を表す回転数によって空間遠方の挙動が違うために時間遠方での挙動にも影響がでる事を示した。特に興味深い結果として、回転数2の場合に調和写像熱流では摂動を受けた調和写像がスケール変換に沿った振動を永遠に繰り返す場合があることを証明した。放物型方程式でこのような時間振動が自励的に永続する例は余り知られておらず、また非線形波動方程式でも実際に構成するのは難しく、現象としても興味深い結果であると思われる。 また、非線形クライン・ゴルドン方程式について、集約性非線形項の場合の有限手ネルギー解の時間大域挙動を調べ、定常解の最小エネルギーよりも低いエネルギーを持つ解は時間両方向で爆発する解集合と時間両方向で散乱する解集合に分割される事を示した。これは非線形波動方程式や非線形シュレディンガー方程式などでは先行結果があるが、方程式が非斉次性を持つ場合では初の結果である。特に対称性の破れにより、解集合を分割する汎函数が余分なパラメータを持つが、それが分割に影響しない事も示した。
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