2007 Fiscal Year Annual Research Report
積分変換の大域理論による高階分散型方程式の解の特異性伝播
Project/Area Number |
18740073
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
多久和 英樹 Doshisha University, 工学部, 准教授 (80403111)
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Keywords | FBI変換 / 解の特異性 / 分散型方程式 / 複素幾何光学解 |
Research Abstract |
(1)分散型方程式の標準形の考察と基本解の性質、(2)幾何学の散乱理論の分散型方程式に対する一般化、(3)方程式の無限遠周りでの解の特異性の考察、(4)大域的複素相関数の統一的な構成と逆問題への応用、の4つの項目を中心に考察した。特に、(4)において期待以上の成果を得ることができ、この項目を中心に研究発表を行い、現在2つの論文を準備している。 具体的には、(1)から(3)の項目について、散乱計量の下での分散型方程式の枠組みの中で、従来得られたものより広いクラスである一般的な作用素について、特性曲線を詳しく計算した。このことは、積分変換を用いたアプローチにおいては不可欠であるが、(3)の項目については、現在も考察が一部残っている。今後の(3)の進展をあわせ、結果を学術論文にまとめる。 (4)については、Calderonによって提案された偏微分方程式の係数決定逆問題を対象にしている。今回の研究で得られた結果は、従来の楕円型作用素に対する考察を、従来は解析が困難であった双曲型作用素に対しても可能にしただけでなく、楕円型作用素に対して最近提案された球面波解に付随した複素幾何光学解の大域的構成法を示した点で、方法自体も新しい。また、この問題に付随して、Wang氏、Uhlmann氏と共同で数値解析まで視野に入れたある種の逆問題を解決した。複素幾何光学解を用いた偏微分方程式論の解析は、従来の理論の再構成と工学、医学に関連した逆問題などの新しい応用をもつことが、特に注目されてきている。
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Research Products
(3 results)