2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18740076
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
下村 明洋 学習院大学, 理学部, 助手 (00365066)
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Keywords | 解析学 / 偏微分方程式 / 函数解析 / 応用数理 |
Research Abstract |
非線型分散型偏微分方程式の解の長時間挙動(時刻無限大での漸近挙動)に関して研究した.主に非線型シュレディンガー方程式やそれに類似の非線型偏微分方程式を取り扱った.平成18年度に得られた研究成果の概要は以下の通りである. ゲージ不変かつ長距離型で消散性の非線型項を持つシュレディンガー方程式について,小さい初期値に対して初期値問題の解の長時間挙動を調べ(時刻無限大での解の漸近形を求め),その解は自由解(斉次線型シュレディンガー方程式)より速く時間減衰する事を証明した.これは,十分時間が経過しても非線型項の消散性の効果が無視出来ない事に起因する.この種の研究はこれまでに行われていなかった様に思われ,本研究が初めての成果と思われる. 又,2階の非線型シュレディンガー方程式と比べてより複雑な4階非線型シュレディンガー型方程式について,非線型項がゲージ不変かつ長距離型で消散性を持つ時に,与えられた散乱データに対して適当な解の漸近形を構成し,それに近づく非線型方程式の解を構成した.(これは瀬片純市氏との共同研究である.)非線型項に消散性がない場合は小さい散乱データに対する同種の結果が知られているが,本研究では散乱データの大きさに制限を設けずに証明した. ゲージ条件を満たさず時刻無限大での影響が比較的強いと考えられる非線型項として,空間2次元で|u|^2という非線型項を持つシュレディンガー方程式の長時間挙動について研究した.(これは堤誉志雄氏との共同研究である.)具体的には,この非線型シュレディンガー方程式に対して通常の波動作用素が定義出来ない(即ち漸近自由解が存在しない)事を証明した.
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Research Products
(3 results)